前回の[その1]では、室内温度が上がるメカニズムや安心して暮らせる環境条件、
室内温度を下げる方法をお伝えしました。
今回は、室内が高温になると起きる夏のトラブル、室内温度を下げる方法についてご紹介します。
👉室内が高温になって発生するトラブル
「熱中症」だけではなく、例えば「パソコンの故障」や「食中毒」、「スプレー缶の爆発」などがあげられます。
ここからは、熱中症になりやすい環境やその他のトラブルについて詳しく見てみましょう。
■熱中症
熱中症は、7月~8月の気温が高い日に発症する方が多いのが特徴です。
熱中症による救急搬送は30℃を超えると発生し始め、35℃になると急増します。
とくに注意が必要なのは、子供や高齢者。
子供はもともと体温が高いうえ、汗腺がまだ発達していないため体温調節がうまく行えません。
高齢者は暑さを感じにくく、体内の水分量が少ないことから熱中症にかかりやすい傾向にあります。
子供や高齢者を家に残して外出する際は、エアコンを必ずつけ、こまめに水分補給するよう伝えましょう。
■パソコンの故障
パソコンは熱や湿気に弱く、暑い部屋や直射日光が当たる場所に置いておくと故障する可能性があります。
パソコンの動作保証温度は50℃とされていますが、室内温度が25℃だからパソコンも25℃というわけではありません。
室内よりも高温になるのが普通で、室内温度30℃で直射日光が当たると、パソコンは50℃を上回るため注意が必要です。
■食中毒
飲食店だけでなく、普通の家庭でも食中毒になる可能性はじゅうぶんにあります。
食中毒の原因である腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌をはじめとする「細菌」は、
30℃~40℃の温度でもっとも増えやすく、6月~8月に発症することが多いです。
室内が暑い状態で食品を常温保存すると食中毒にかかりやすくなるため、必ず冷蔵・冷凍保存するようにしてくださいね。
👉夏でも安心して暮らせる環境条件
安心して暮らせる環境にするには、“快適性”に着目しましょう。
・夏の室温は28度に設定
・湿度40%~60%
・風通しをよくする
一般的に夏の室内温度は“28℃が適温”だとされていますが、デパートなどの人が集まる場所は26℃~27℃に設定されています。
これが、「長くいると肌寒さを感じる」温度です。
また、快適性に重要なのが湿度です。“40%~60%が快適”であり、
40%以下だとウイルスの増殖が促進され、60%以上はカビやダニが発生します。
エアコンの除湿機能や加湿器をうまく活用して、快適な環境を作りましょう。
👉夏に室内温度を下げる方法とは?
夏の室内で起こるトラブルを防止し、安心して暮らせる家にするにはどのようにすればよいのでしょうか。
「引っ越さないと暑さは変えられないの?」なんて悩んでいませんか?
実は引っ越さなくても、“アイテムの活用”や“家での工夫”で温度の上昇をピタッと止められるんです。
■直射日光を遮るカーテン
窓の外側に取り付ける「グリーンカーテン」は、日光を遮るだけでなく植物の蒸散により温度を下げる効果もあります。
室内には「遮光カーテン」や「遮熱フィルム」、「ハニカムブラインド」などがおすすめです。
遮熱フィルムは窓際の温度を5℃ほど下げる効果があり、さらに日焼け防止にも使える優れものです。
■遮熱タイプの窓ガラス
遮熱性能のあるガラスとそうでないガラスでは、太陽熱の入る量がまったく違うことを知っていますか?
太陽の熱が窓を通して室内に入る割合を「日射熱取得率」と呼び、値が小さいほど遮熱性能のいいガラスです。
遮熱できない「1枚ガラス」は、太陽熱を反射することなくほぼ室内へ通します。
一方、遮熱性能のいい「複層ガラス」は太陽熱を50%カットするものも。
■風の通り道を作る
快適な家に必要なのが「風の通り道」です。温度を下げるだけでなく、めぐりのいい家にすることで快適性がぐんとアップします。
玄関や大きな窓を開け、風邪の入口・出口を作りましょう。
外開き窓は風を取りこむのに効果的です。
せっかく作った入口・出口を遮断させないためにも、室内のドアは開けるか、風が通るドアで通り道を作ってあげましょう。
夏に室内温度が上昇するメカニズムや上昇しやすい家、室内でのトラブル、温度を下げる方法などをご紹介しましたが、いかがでしたか?
いつも生活しているからこそ気付きにくく、トラブルが起きてから暑さや湿気の重要性に気付くこともあります。
大切な家族を守るためにも、「安心して暮らせる家」を作ることが大切です。
エアコン、除湿・加湿器、遮熱タイプの窓ガラスなど、さまざまな方法を組み合わせて快適環境を作ってみてはいかがでしょうか。