前回の記事では、パッシブ設計の基本的な4つのポイントについてお伝えしました。ではパッシブ設計を取り入れると、暮らすうえでどのような良さを感じられるのでしょうか。
今回はパッシブハウスのメリットについてお伝えします。
メリット1. 寒暖差が少ない
パッシブハウスで建物の性能をしっかり上げると、エアコン一台で冬は暖かく夏は涼しい家が叶えられます。
建物の性能がイマイチな家では、暖房をつけても床がひんやりと冷たかったり、窓の近くへ行くとヒヤッと冷気を感じたり。
エアコンの温度を上げたところで、頭だけボーッとのぼせたように暑くなってしまうようなことも多いですよね。
家全体の性能を高めると、そういった温度ムラもなくとても快適です。
メリット2. 光熱費が削減できる
建物の性能を高めると、どうしても家づくりの段階では多少のコストアップがあります。
しかし太陽や風に素直に設計することで、冷暖房のロスは最小限に。エアコンやストーブなどの依存度を減らせるので、光熱費が削減できます。
これからは電気代も灯油代もどんどん上がっていく可能性が高いといわれています。
今のうちに高性能な家を建てておくことは、長い目でみて賢いお金の使い方といえるのではないでしょうか。
メリット3. 健康にやさしい
温度差が激しい家での、ヒートショックによる脳卒中や心筋梗塞などの問題は最近話題ですよね。高性能な家で暮らせば、そういったリスクも抑えられます。
また結露しにくいので、カビやダニも発生しにくく、喘息などのアレルギー疾患が気になる方にもメリットが大きいです。
メリット4. 空気がきれいになる
家の気密性を上げると「新鮮な空気が入ってこなさそう」「息苦しそう」と思われる方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
隙間だらけの家では、計画的な換気ができません。
気密をしっかりとることで、汚れた空気はしっかり外へ出して、新鮮な空気を効率よく取り込むことができます。
エアコンをつけて窓を閉め切っているときでも、機械できちんと換気して、つねにお部屋のなかの空気をきれいに保てます。
パッシブ設計こそ合理的
過剰なエアコンで空気が乾燥するから、加湿器をいくつも置き、足元が寒いから床暖房をつけ、梅雨にはジメジメするから除湿器を…。
低い性能の家に、ハイテクな設備をどんどん足していくことが、本当に快適な暮らし方でしょうか?
パッシブ設計でも機械の力を使わないわけではありません。なるべく建物の設計で解決しながら、必要な設備を足していくイメージです。
春夏秋冬ガマンをせず心地よくすごせて、冷暖房費もお得に。おまけに健康にも優しく、家自体も長寿命化。そんな家をめざしませんか。
次回は「こんなにメリットがあるのに、なぜ全ての家がパッシブハウスではないのか?」という疑問について考えてみましょう。